-6輪2足でどこまでもー 管理人 甲斐駒仙丈 
ファスト&スロー
ファスト&スロー

ファスト&スロー

【作者】ダニエル・カーネマン

【発行日】2012年(原著は2011年)

【おすすめ度】★★★ 大変面白かった。 絶対読むべきです。

【キーワード】システム1&2/平均回帰/プレモーテム(premortem)

【NDC版】思考.想像.創造性

表紙_ファスト&スロー1

2つのシステム

 『ファスト&スロー』は、ダニエル・カーネマン博士が脳科学、心理学、経済学の観点から、人間が判断する方法について解説した一冊である。彼は、「ファストシステム」と「スローシステム」の2つのシステムが人間の思考に影響を与えると主張している。ファストシステムは、瞬時に反応する本能的な思考で、スローシステムは、計算力を必要とする深い思考である。

表紙_ファスト&スロー2

 MuaMuaさん、私もこの本読みましたよ。昔から右脳/左脳、論理脳/感情脳というような話はあったと思うけど、それが科学的に、洗練された形で説明されているよね

私たちは間違える

 本書の中で、カーネマン博士は、私たちがいかに判断を誤るかについて説明している。彼は、私たちが常にファストシステムに頼りがちであることにより、誤った判断を下しやすいことを示している。例えば、私たちは選択肢の少ない商品よりも選択肢の多い商品を選びやすいですが、実際には選択肢が多すぎると選びづらくなるという心理学的な傾向がある。

 また、カーネマン博士は、私たちが経験したことや知っていることに基づいて判断することが多いことを指摘している。これは、私たちが「アンカリング効果」と呼ばれる傾向に陥りやすいことを示している。アンカリング効果とは、最初に提示された情報に依存して、その後の情報を判断する傾向があることを指す。例えば、商品の価格が高額である場合、その商品は高品質であると判断されやすいという傾向がる。

自分の意志、自由意志というのかな、それって何なんだろう、と感じた一冊です。

心理学的実験

 このような人間の思考の傾向について、カーネマン博士は緻密な研究を通じて分析している。彼は、この本を通じて、私たちが自分自身や他人、そして世界をどのように判断しているかを知ることで、よりよい判断を下すことができるようになると主張している。

 本書は、認知心理学や行動経済学など、複数の学問領域にまたがる理論を用いて、人間の思考プロセスについて深く掘り下げた一冊である。複雑な心理学的な理論を扱っているため、難しいと感じる読者もいるかもしれません。しかし、自分自身の思考プロセスについて深く理解することができると同時に、より良い判断を下すためのヒントを得ることができるだろう。

後半、心理実験の実例が続き、ちょっと飽きてしまいました。すいません。

要点

  • 人間の行動は、ファストシステムとスローシステムに分けられる。
  • ファストシステムは、直感的な思考に基づいて行動する。スローシステムは、論理的思考に基づいて行動する。
  • 人々は、時にファストシステムに頼って判断し、その結果として誤った判断を下すことがある。
  • 例えば、感情に左右された判断や、周囲の状況によって左右された判断などが挙げられる。
  • 一方で、スローシステムを使って論理的に判断することで、より正確な判断を下すことができる。
  • しかし、スローシステムは、時間やエネルギーを必要とするため、常に使うことができるわけではない。
  • 本書は、このようなファストシステムとスローシステムを比較しながら、どのようにしてより良い判断を下すことができるかを解説している。

ダニエル・カーネマン博士について

 ダニエル・カーネマン博士は、イスラエル生まれのアメリカの心理学者・行動経済学者である。プリンストン大学教授を経て、現在はデューク大学教授を務めている。主に行動経済学の研究で知られ、非合理性を含めた人間の意思決定の過程について研究している。2002年に『思考の落とし穴』を発表し、一躍注目を集めた。また、2006年には、トロフィー・ナンバー(幸福指数)に基づく国際ランキングを発表したことでも知られている。カーネマンの研究成果は、経済学だけでなく、マーケティング、教育、政治学、医療など、多岐にわたる分野に影響を与えている。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

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