国家はなぜ衰退するのか　権力・繁栄・貧困の起源　上下

衰退する国家

『国家はなぜ衰退するのか』は、ダロン・アセモグルとジェイムズAロビンソンによって書かれた、国家の衰退について分析する書籍である。

本書では、歴史的に成功していた国家がなぜ衰退し、失敗するのかについて、政治、経済、社会的な要因を分析している。また、現代のアメリカにおける政治的分裂や経済格差の拡大についても言及しており、これらの問題がアメリカの衰退につながっている可能性を指摘している。

技術革新（イノベーション）がカギ

本書の要点を箇条書きでまとめたものである。

• 国家が衰退する主な原因は、政治、経済、社会的な要因の相互作用にある。
• 政治的な要因としては、エリート支配や政治的分裂が挙げられる。エリート支配によって、政治的に弱いグループが搾取され、社会的不平等が生まれる。政治的分裂は、政治的な妥協が困難になり、政策決定が鈍化することにつながる。
• 経済的な要因としては、市場の失敗や技術革新の停滞が挙げられる。市場の失敗によって、資源配分が効率的でなくなり、経済成長が鈍化する。技術革新の停滞によって、生産性が低下し、経済成長が鈍化する。
• 社会的な要因としては、社会的不平等や社会的排除が挙げられる。社会的不平等によって、弱いグループが経済的に搾取され、政治的に弱体化する。社会的排除によって、一部の人々が社会的地位を確保し、他の人々が排除される。
• アメリカにおいては、政治的分裂や経済格差の拡大が、国家の衰退につながっている可能性がある。
• 衰退を防止するためには、政治、経済、社会的な改革が必要である。エリート支配の是正や社会的不平等の是正、技術革新の促進などが挙げられる。

本書は膨大な統計データや歴史的事例に基づいているため、理論的にも実証的にも高い水準での論証が行われている点も魅力的である。しかも、その分析は専門的な知識を持たない一般読者でも理解しやすく、読みやすい文章で書かれているため、広く読まれることを期待したい書籍の一つである。

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