【著者】千葉聡
【発行日】2023年
【おすすめ度】★★☆ 面白かった おすすめします
【キーワード】進化論,進化と進歩,優生学
【NDC10版】467.5 : 遺伝学
『進化』は必ずしも『進歩』ではない
『ダーウィンの呪い』は、ダーウィン進化論が自然科学だけでなく、社会全体に及ぼした影響を深く掘り下げた一冊である。ダーウィンの進化論は、生物の多様性を説明する上で画期的な理論であり、現代生物学の礎を築いた。しかし、この理論は同時に、社会思想や政策に大きな影響を与え、その中には優生学のように悲劇的な結果をもたらしたものも存在する。
本書の著者は、ダーウィン進化論が「進化の呪い」「闘争の呪い」「ダーウィンの呪い」という3つの呪いを生み出したと分析する。
「進化の呪い」は、進化を単なる変化ではなく、常に「進歩」の方向に向かうものと捉える誤解である。ダーウィンの理論は、生物が環境に適応するために変化していくことを示しているが、必ずしも「進歩」を意味するわけではない。
「闘争の呪い」は、生存競争を生き残るために個体は常に闘争しなければならないという誤解である。ダーウィンは確かに生存競争の重要性を指摘したが、協力や共生も進化の重要な要素であることを強調していた。
「ダーウィンの呪い」は、ダーウィンの理論を社会現象に安易に適用し、社会の不平等や差別を正当化する誤用である。優生学はその典型的な例であり、ダーウィンの理論が歪曲され、悲惨な結果をもたらした。
「進化」という言葉は、様々な解釈がなされ、時に誤解や歪曲を生み出す。本書は、そんな「進化」という言葉の持つ複雑さと奥深さを教えてくれる。
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ムアムアさん、私も読みました。進化論てよく知られているけど、誤解されている理論ですよね。本書はその点を重点的に論じている良書だと思いました。
個人的に、文系理人問わずある程度理解してほしい自然科学の理論の中に、この「進化論」って入っていると思います。
僕も「エネルギー保存則」「エントロピー増大則」の次に必要な知識だと思っている。
「進化」って良い方向に進むものだって、普通に思っていますけど・・・・。
『ダーウィンですらそういうニュアンスを含めることがある』と本書では書いてあるからね。そう思うのは仕方ない。本書を読んで勉強しよう。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
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