【名称】菩提寺のイチョウ(ぼだいじのいちょう)
【所在地】岡山県、勝田郡奈義町
【おすすめ度】★★★ 一生に一度は見るべき
【周囲の環境】★★★ 静かに木と対話出来ます
【アクセス難易度】★★☆ 普通
ギャラリー
この木なんの木?
このイチョウは、浄土宗の開祖法然上人(幼名:勢至丸)が、仏教の手ほどきを受けるために、この菩提寺に入山の際、麓にある「阿弥陀堂の大イチョウ」の枝を杖にし、学業成就を願い挿し根付いた云われる名木です。
(中訳)
樹高 40m 目通り幹囲 13m 樹齢 推定900年
案内標識より
とにかく巨大です。幹が垂直に枝分かれしていることから、最初に見たときカツラかと思いました。横方向にも枝が広がっていて非常に貫禄があります。周囲もキレイに整備されていることもあり、私にとって印象深い巨木になりました。
平成25年に奈義町教育委員会が行った樹勢診断調査の中で、「菩提寺のイチョウ」と「阿弥陀堂のイチョウ」そして隣り合って立つ「天明のイチョウ」は同じDNAを持つことが判明しました。
(中訳)
皆さんもこの木を見上げ、900年の歴史に思いを馳せ、奇跡の生命力を感じていただければとおもいます。
案内標識より
DNA検査までしたのですね。樹木のDNA検査がどの程度の同一性や親子関係を証明するのか? 私にはわかりませんが、法然上人の伝説が単なる伝説ではない、ということでしょう。より一層神秘を感じます。
『阿弥陀堂のイチョウ』はわかりましたが、もう一つ『天明のイチョウ』とは?
枝分かれ『天明のイチョウ』
地元高円地区の古事を編纂した「美作高円史(昭和33年発行)」によると、江戸時代、天明年間に雪で半折れ状態になった枝が地面にふれ、根付いたと記録されています。
(中訳)
樹高 35.5m 目通り幹囲 4.2m 樹齢 推定230年
案内標識より
確かに、『菩提寺のイチョウ』と寄り添うように立っています。『菩提寺のイチョウ』の横に広がる枝ぶりから、確かにそうなってもおかしくない距離です。まだまだ若いイチョウなので、母樹同様に大きく育ってもらいたいです。
コラム:イチョウの乳垂
『菩提寺のイチョウ』のもう一つの大きな特徴として、立派な乳垂があげられます。
老木になると幹や大枝から円錐形の気根状突起を生じることがあり、これをイチョウの乳と呼ぶ。これは「乳根」や「乳頭」、「乳柱」ともよばれる。若木のうちから乳を作る個体は、チチイチョウ(乳銀杏)と呼ばれ、古来、日本各地で安産や子育ての信仰対象とされてきた。造園ではチチノキとも呼ばれる。この乳は不定芽や発育を妨げられた短枝、あるいはそれから発育した潜伏芽に由来し、内部の構造は材とは違って柔らかい細胞からなり、多量の澱粉を貯蔵している。
wikipediaより
乳垂には本当に栄養分が蓄えられているのですね。食べられるのでしょうか? いやいやここまで育った樹木を切るなんて罰当たりなことはできませんね。