ギャラリー
日本百名山「荒島山」のふもとの深い谷にひっそりと立っている。
水が豊富で、夏でもすずやかです。
この木なんの木?
このカツラの巨樹は根回り十五.〇メートル、樹高約二十九メートルあり堂々たる風格をただよわせる
案内標識より
カツラの周りには水の流れがあることが多く、この木も例外ではありません。ギャラリーの動画には鳥やセミなどの虫の鳴き声とともに、涼やかな水の音が入っています。
白山信仰
養老元年(七一七)泰澄大師が白山登頂の途中この地で食事に使った箸を大地に挿したのが芽を出し、現在の巨木になったと伝えられ神木として保護されている。
案内標識
この案内標識を見るまで、福井県から白山に登れるルートがあるとは知りませんでした。地図を調べてみると、確かにこの木が立っている谷を上りつめ、さらに尾根沿いに、いくつかの山を越えて白山に至る登山ルートがありました。長大な距離です。現在主流は石川県の別当出会登山口からルートで、距離は6kmほどですが、標高差が1500mあり、結構きついコースです。ここから白山へは単純な距離でその4倍。標高差もアップダウンもかなりありそうです。泰澄大師の苦労と信仰への思いが感じられます。この小川で顔を洗ったり、水を飲んだりして、癒されたのでしょうか。
コラム:日本百名山『荒島岳』
前章で白山のことを書きましたが、実はここ、百名山『荒島岳』の方が近いです。百名山としてはマイナーな山で、「なぜこの山が百名山に選ばれたんだ」という人もいるくらいですが、麓の大野市街から見ると非常に印象的な山です。こちら方面から白山を目指した泰澄大師も大野市を通り、荒島岳を見上げたことでしょう。
荒島岳はいくつかの登山ルートがありますが、公共交通機関を使う場合、JR勝原駅から「勝原ルート登山口」を使うのが便利でしょう。このルートの途中にはブナの原生林があり、樹木好きにはたまらないでしょう。
私は車を使ったので、もう一つの登山口「中出コース」から上がりました。こちらのコースは『小荒島』という小ピークがあり、そこから荒島岳を撮影したかったためです。なかなか素晴らしいでした。
標高もそれほど高くなく、ハイキングのつもりで登ったら痛い目にあいました。結構距離が長く、特に頂上付近は急こう配なので、しっかりした靴が必要です。お気をつけを。
アクセス
国道からJR勝原駅に向かう脇道に入り、勝原駅を越え鳩ケ湯温泉方面に向かう途中にあります。谷が深く、路面も荒れ気味ですが、舗装はされています。山道に慣れていない人は少し心細くなるかもしれません。トンネルを数か所越えると、小さな集落があり、山側の林に入ったところに立っています。駐車場はありませんが、このあたりは道幅があり、交通量も少ないので、脇に止めさせてもらうことができます。
公共交通機関はないと思ったのですが、この記事のために調べてみると、どうやらこの奥の鳩ケ湯温泉に向かうバスがあることがわかりました。ただ残念なことに、時刻表は見つけられませんでした。
最終手段として、先ほど紹介したJR勝原駅から徒歩という方法もあります。約40分(3.4km)なので、全く非現実的、ということはないと思います。