【作者】花房尚作
【発行日】2022年
【おすすめ度】★☆☆ 面白かった。
【キーワード】現状維持/緩やかな後退/既得権益/保守性と閉鎖性/長いものには巻かれろ
【NDC10版】361.76 社会学 地域社会 農村.山村.漁村
地域活性化の現実
『田舎はいやらしい 地域活性化は本当に必要か?』は、花房尚作氏によって書かれた地域活性化の現実を探求する書籍である。
著者は、田舎と都市の間に存在する格差や価値観の違いを明確にし、一般的な考え方やメディアの情報に疑問を投げかけながら、「過疎地域の活性化は本当に必要なのか、今一度考えてみたかった。」(本文より)と語っている。
ムアムアさん、私も読みました。タイトルからして、いろいろな方面から非難の声が上がりそうな内容ですね。
確かにそうですね。ただ著者の花房氏自身が過疎地域に住んでおり、単純に田舎を非難する内容にはなっていない。
ですが田舎を礼賛する内容にもなっていないですね。
要約
第一部 過疎地域批判――現状維持という名のゆるやかな後退
【第一章】過疎地域のよくある事例
【第二章】過疎地域のよくある問題
【第三章】過疎地域批判
第一部では、過疎地域での閉鎖的な現状や、外部の人へ否定的な対応など、豊富な実例をあげて紹介している。
「県庁所在地に近い田舎と過疎地域では事情が異なる」と著者は述べていますが、言われてみればそうですよね。
田舎暮らしが流行っていて、マスコミもそれを後押しする雰囲気になっていますが、自分が何を求めているかを明確にして、そして自身で調査してから実行したほうがよいと思いました。
第二部 過疎地域分析――過疎地域の活性化は本当に必要なのか
【第一章】 地域の活性化は本当に正しいのか
【第二章】 過疎地域とは何か
【第三章】 地域活性化の事例調査
【第四章】 過疎地域の現地調査
【第五章】 田舎のいやらしさにおける考察
第二部では著者自身の経験や他者の実例をもとに、過疎地域の現状を
・地域を改革していこうという「建前」
・このままで良いという「本音」
が錯綜していると分析している。また著者は後者を、「それはそれでよいのではないか。」としている。
わたし自身も納得できない内容もあるが、それを正面からとらえて論じているところが評価できる。
特に「変わらないことを望む人びとがいる。」といった視点は、過疎地域に住んでいる著者ならではの意見だと思いますね。
変化することが正しい、という風潮は確かおかしい。落ち着いてゆっくり過ごしたい、という希望も同等に尊重されるべきだと思いますね。
でも、いやがらせとか談合とか違法行為はダメだと思います。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
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