-6輪2足でどこまでもー 管理人 甲斐駒仙丈 
がん ー4000年の歴史ー 上下
がん ー4000年の歴史ー 上下

がん ー4000年の歴史ー 上下

【作者】シッダールタ・ムカジー 

【発行日】2016年

【おすすめ度】★★★ 大変面白かった。 絶対読むべきです。

【キーワード】がん治療/がん検査/がん予防/がんの発生機序/分子標的薬

【NDC】491.65 基礎医学 腫瘍.癌

医師や患者の物語

本書は、がんの歴史を、古代エジプト、古代ギリシャ、古代ローマ、中世、ルネッサンス、19世紀、20世紀、21世紀と、時代ごとに分けて解説している。各時代の特徴的ながんの研究や治療方法、そして、がんに苦しんだ患者について、詳しく書かれており、がん治療の進歩を目の当たりにすることができる。

膨大な資料を元に、がんの歴史を4,000年以上遡って詳細に解説している。黒胆汁説に始まり、外科手術、化学療法など、様々な治療方法が考案され、患者に施され、そして思うような結果にならなかったことが書かれている。

ムアムアさん、私も読みました。がんの歴史について、これほどまとまっていて、これほど読ませる本はないですね。

ピュリッツァー賞をとった作品です。医学書ではないので、生物学的な解説は最小限で、主に医師や患者の物語として書かれています。

検査、予防、そして分子標的薬

後半、治療だけではなく、がんの検査方法(マンモグラフィーなど)や予防(タバコメーカーとの争い)についても書かれている。そしてこれまでの歴史の中で、判明してきたがんの発生メカニズムについての解説があり、最後に分子標的薬治療での目覚ましい成果で、この物語の幕が閉じる。

この本は、歴史の本なので、生物学的な話はほとんどないですが、分子標的薬の話をするなら、やっぱりがんの発生メカニズムは欠かせないですね。

なかなか練られた構成ですね。中世以前のひどく残酷な治療のから、この最新の成果まで、本当に劇的ですね。

私でもわかりますか?

具体的な一人の患者とその治療の観点でも書かれていて、患者と医師の苦闘の物語としても十分面白いと思います。
ただ個人的に、背景となる生物学の知識があるとより面白いと思いますが。セントラルドグマがわかる程度でいいんです。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

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